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OKI meets 大城美佐子 / 北と南 (CD) / UBCA-1026

沖縄の唄三線にアイヌのトンコリが恋をした。
紡ぐ音、歌う言葉にウムイ(想い)をのせて。

 

OKIと大城美佐子――ひとりは、樺太アイヌの伝統弦楽器・トンコリの奏者であり、世界を見つめた斬新な音作りでアイヌ音楽の可能性を切り拓いてきたミュージシャン/プロデューサー。ひとりは、唄の道を歩み続けて55年、御年76歳にして現役、“絹糸の声”を持つ沖縄民謡界の女王として君臨する唄者。誰も想像しなかっただろう北と南の出会い。アイヌ、沖縄をルーツとする2人の夢のコラボレーションが実現した。

 

    OKI meets 大城美佐子 / 北と南 (CD) / UBCA-1026

    ¥2,667価格
    • 収録曲

      1. 固み節
      2. 恋語れ
      3. 北と南
      4. 南洋浜千鳥
      5. ヨー加那よー
      6. レッドおじさん
      7. ランク節
      8. ヒンスー尾類小
      9. ヤッチャー小~泊高橋
      10. 南と北 

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    • 商品情報

      発売日:2012年3月14日
      品番:UBCA-1026
      発売元:Tuff Beats
      販売元:Space Shower Networks

      <大城美佐子による曲解説付き>

    • 作品レビュー

       OKIと大城美佐子は、この企画が持ち上がるずっと前から、お互いの存在を知っていた。十数年前、偶然一緒になった関西のとあるイベント。そこで観た互いのステージの衝撃を、「シルキーな高音ヴォイスにぶったまげた」とOKIが語れば、「なんてかっこいいんだろうって驚いた」と美佐子先生が照れ笑う。十年越しの再会、そして共演――互いの音楽に惹かれ合っていた2人に、それを断る理由などなかった。
       制作期間は、2011年秋から約4ヶ月。沖縄のスタジオで、OKIプロデュースのもと大城美佐子の唄三線、一番弟子・堀内加奈子による島太鼓などが録音され、残りの作業はOKIが北海道の自宅スタジオで行った。沖縄の地で、初めて自身の唄三線にトンコリの音が重なるのを聞いたとき、美佐子先生は「素敵ね」と目を細めた。沖縄民謡では、筝(こと)を使用することがあるが、どこかトンコリに似た響きがあるかもしれない。筝もトンコリも、悠久の時を思わせるような幻想的な音の広がりをもたらす。
       しかし、当初OKIは、「唄と三線がラブラブすぎて、トンコリの入る隙がない」と悩んでいた。沖縄の唄者はほとんどの場合、三線を弾きながら歌う。唄と三線は一心同体のようなもので、切り離すことは難しい。さらに、「聞けば聞くほど微妙な音が出てくる複雑な沖縄音階」も壁だった。それに対して音階の少ないトンコリがどう対応するか――。大城美佐子の唄三線を何度も聞き込み、発見、挑戦を繰り返し、そうしてOKIなりに沖縄音楽を昇華したのが本作と言える。「何かの音楽と融合させたわけではない。あくまで沖縄音楽を引用したんだ」とは納得。三線とトンコリが寄り添うように美しく連奏する「固み節」、唄三線とベースの追いかけっこのようなリズムがユニークな「恋語れ」、リヴァーブやディレイでスペーシーに色付けした唄三線と太鼓が迫るダビーな「南洋浜千鳥」、一発録りで、この曲らしい“踊り”を誘う賑やかな空気を創り上げた「ランク節」など、そのアプローチはさまざまであるが、OKIが見出した新たな可能性の音の渦の中で、大城美佐子の唄声はいつも生き生きと存在している。

       沖縄での作業中、OKIは幾度となく「美佐子さん、誰もやってないことをやろう」と言った。そのたびに美佐子先生は、「ふふふ」と同調するように笑うのだった。それはまるで、街一番の高嶺の花と、街一番のやんちゃ少年が秘密の計画でも練るかのような光景で、なんだか妙にドキドキした。“太陽のようなお前の笑顔”とOKIが歌う「北と南」などは、もはや美佐子先生に捧げる恋文に聞こえてくる……と言ったら大げさか。

       大城美佐子は言う。「唄は心で歌うもの、唄は語り」と。本作には、2人が唄で掛け合う場面はない。けれど、2人は確かに語り合っている。それを耳にしていると、不思議と沖縄でも北海道でもない“どこか”が思い浮かぶ。遠い昔にあったどこか、それともまったく新しいどこか。懐かしいようであり新鮮でもある、その地に鳴る音は胸の奥をじわりじわりと刺激する。大城美佐子とOKI、2人が心通わせ描いたこの音の景色こそ、ほかの誰もたどり着かなかった“北と南が出会うところ”なのかもしれない。

      (文/岡部徳枝)

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